【SS】夜明けの空は金色
ふと眼がさめた。
車はなめらかに進んでいる。
高速道のまわりは平野で空がとても広い。
明けてゆく空は金色に輝いて
うすい條雲が淡くやわらかい紫に染まっていた。
『ああ...美しいな』
ねぼけた頭でぼんやりと思う。
「そらがきんいろ」
呟こうとして言葉をのみこむ。
もう、あの金色の空はなく
かすれた青空が広がりつつあったから。
移り変わる空を眺めながら
車の振動にゆられながら
またうとうとと眠ってしまった。
空がこんなにも美しいなんて知らなかった。
あの日から折りにふれ空を眺める。
薔薇色の夕暮れ、夏の青、たくさんの美しい色。
そしていつもあの日の金色の空を思い出す。
私の宝物。